「俺も安静にしてろとはいったんだけどさ
このクソ親父がつれてきたんだよ、わざわざ母さんの病院に掛け合ってまで」

「……お前はまたそんな口をきいて…」

「本当のことじゃねぇかよ」

「……こんなとこでも言い争いとかやめてくれる?」


そういって、いつもの二人を止めたけど…


横で優しく微笑むお父さん
私を力いっぱい抱き締めるお母さん

その光景を、ちょっと遠目に
だけど優しく見守る将希


この3人を見ていたら、私の目からは泪が溢れた。


「……真希?」

「ごめっ…、こんな風に家族が揃うの
いつぶりだろうなって考えてたら…」


こんな風に、穏やかな時間がまた訪れるなんて思いもしなかった。
ただただ崩壊していく、それだけだと思ってたから……


「ま、将希の反抗期もそろそろ落ち着くからな」

「うるせぇよ」

「・・・反抗期?」

「真希にはなかったな、そういや」


・・・いや、ちょっと待ってくれ。
あの荒れてた毎日は、ただの反抗期が原因だったのか!?
それ、だけ?ねぇ。それだけだったの?


「まぁいつか落ち着くだろうと思っていたけど」

「将希もこれで大人に近づいたってことね」


・・・おいおい、なにをのんきに…
お母さん、入院までしたんじゃないですか…


「……ていうか、お母さん体は大丈夫なの?」

「え?あぁ…、あのね、お母さんちょっと気分にムラがあるのよ。
最近はずっと調子よかったから、そろそろ退院を考えていたの。
退院してもまた落ちちゃうときもあると思うけど…それでも、また頑張ってくから大丈夫だよ」

「……そっかぁ…よかったね」


私がお母さんにそう微笑むと、お母さんも優しい笑顔を私に向けた。


「ってか真希はいつ退院なわけ?」

「あぁ、いつだろうね?」


…あれ?そういえば私…どうして入院してたんだっけ…?


____そうだ、思い出した…!


「それじゃ、真希も元気だし俺と母さんはそろそろいくな。
病院、戻らなきゃだし」

「そうね」


そういってお母さんとお父さんは立ち上がった。


「あ、お母さん…ありがとね」

「真希、次は家でね」

「……うん」


そういって、お父さんとお母さんは仲良く病室から出ていった。
本当少し前まで、話すこともなかった我が家だったのに……たった数日で、ここまで変わるんだね…