手をぎゅっと握り、私も優斗くんの横でうずくまる。
ただただ、神に願うことしかできない。無力な私は、ただただ信じてもいない神様に、願いをこめることしかできなかった。


「……大丈夫、神谷はこんなことで死んだりしない。
だってあいつ、昔本当にケンカばっかして顔中傷だらけで学校来てさ
…そんな、ぼこぼこにっ…なっ、ても元気に学校、来るようなやつなんだから…」


震える、優斗くんの声。
みんな、信じるしかないんだ。

圭介の、生命力を。

いるかもわからない神様を。


……もしも今ひとつだけ願いが叶うなら
私は、もう一度…一度だけでいい。

元気な姿をした圭介に会いたいよっ…


神様、お願い…っ、多くのことを望んだりしないから…

たったそれだけでいいから…


そう。強く強く願うと

_____ガーーーッ、


と、ドアが開いた。


「先生っ、!!」


手術中のランプが消え、ドアからは医師が出てきた。


「圭介はっ…!」


その医師に、私は飛びかかる。
……でも、決して笑顔は見せてはくれなくて

「……ご家族を、呼んでください」

たった一言、私たちにそう伝えた。


「えっ…?」


その言葉の意味。
それが、なにを指すことか…そんなの、私でもわかるよ…


「…どういう、ことですか?」


固まる私の横で、優斗くんが震える声でそう問う。


「…できることはやりました。
出血も止まりました。……ですが、非常に不安定な状態が続いています」

「えっ…そ、それって…」

「……今は、彼の生命力に賭けるしかありません」


その言葉に、
私は膝から崩れ落ちた。