「……真希は?」
「え?」
「……真希のことも、思い出していいの?」
揺れる瞳に、震える声。
そんな弱々しい圭介に、私は微笑みを返す。
「…私は、もし圭介が傘を持たずに雨に打たれてたら、私も一緒に雨に打たれるよ。」
「……は…?」
「暑くて暑くて汗がたくさんでる日は、私も一緒に汗をかく」
私のことなんか、思い出さなくていいんだよ。
たくさんの人のことを思い出さなきゃなんだから、これ以上はキャパオーバーでしょ?
「辛いときは、みんなを思い出して乗り越えてよ。
……でも、きっと一人で戦うのは難しいからさ
辛いことがあったら、私も一緒にいるよ
私も一緒に、その辛さを共有する」
たとえ彼女じゃなくたって、私は圭介のことが大切だから。大好きだから。
……だから、1番そばにいたいんだ。
「…だから、疲れたときとか、辛いときはいつでも手を伸ばしてよ。
そしたら必ず私がその手を掴むから。」
思い出すんじゃなくて、忘れないで。
私はいつだってそばにいる。そばにいたいんだ。
だって、私が幸せにしたいから。
私が、圭介を笑わせたいんだ。
どれだけ拒絶されたって、この想いだけは変わらないから。
「…ね、一緒に帰ろう?」
そうして私は圭介に手を差し出す。
まだ、今の圭介が私に手を伸ばしてくるのは難しいかもしれないから。
だから、私を求める前に、私が圭介を求める。
「どれだけ人が圭介を否定したって
私には圭介が必要だからさ」
だから、そんなに強がらないで。
私はちゃんとわかってる。
奥底にある、圭介の中の不安だとか、弱さだとかさ
ちゃんと、見てきたから。
「……だから、もう泣いてもいいよ
帰る場所はいくらでもあるんだから」
どんだけ弱くたって、ここにいていいよ。
家族がいなくたって、仲間はいる。
恋人がいなくても、あなたを想う私がいる。
役不足かもしれないけど…少しでも支えになりたいと願う私のそばにいて。


