小さな背中を見ながら、いろんなことを思い出した。
ここでいきなり話しかけられてさ…

あのときは本当にいきるのに疲れてたよね。
死ぬ気はなかった。ただ、いきるのをやめたかった。

なのに、いつからだろうね。
いつから私の人生、こんなに楽しくなってたんだろうって…


幸せになりたい、なんてさ
……今思えば、私ずっと幸せだったじゃん、って…

幸せになりたいなんてそんな願い、もう手に入れてたじゃん…
そんな願いが過去にもうあったなんて…どうしてあの頃は気づけなかったんだろう…

……あの頃は終わりがあるなんて、知らなかったんだよね。こんな日が来るなんて、知らなかったんだよね……


圭介は前から決めてたのかな…
将希が私の弟だって知ったときから、こんな日が来ることを自分のなかで決めていたのかな……

……そんなこと、きっとないよね…?
だってそれならあの楽しかった毎日が嘘になるもん。
夜に学校来たり、流れ星見に丘までいったり、圭介の地元までいったり…

……あんなんなのに、意外と怖がりだしさ
なんか知らないけど異常に束縛するし、怒るし

…でも、そんな圭介が好きだったんだよね


………私、なに過去形にしてるんだろ。
まだ、こんなに好きなくせに。思い出して泪出てくるくせに、楽しい毎日思い出して笑っちゃったり

……圭介のこと想うだけで
たったそれだけのことで、私は生きてるのが嫌じゃなくなったんだよね

圭介がいるだけで、私の心は暖かくなったんだ。
あんなに毎日が辛かったのに、たったそれだけのことで……


……ねぇ、圭介
私、絶対にあの日々をなかったことになんかしないから

もう、なにも望んだりしないから
なにかを求めたりもしないから


『君のことを好きでいさせて』