「ちょ、先輩どうしたんですか」


いつもはあんなにさっぱりと、のほほーんとしてる先輩が
なんか、珍しくちょっと不機嫌。


こんな先輩、見たことなくてちょっと不安になった、けど


「…真希ちゃんが、木村と仲良さそうで」

「……へ?」


なんか、予想とはかけ離れた返事が来た。


「俺といるときより楽しそうで、むかついた」


きれいな顔の頬を少しだけ膨らませてそんなこと言う先輩が、なんかかわいくて

可愛くて可愛くて、いじめたくなる。


「なんかそれ、嫉妬してるみたい」


なんて笑いながら言うと、先輩はひねくれた顔をして私を見た。


「そうだよ」

「え?」

「嫉妬、してる。
俺のが早く知り合ったのに、木村のこと名前で呼んで、敬語もなくて、楽しそうで

…負けた気分」


先輩が、あまりにも不機嫌にそんなことを言うから、なんか私もどうしたらいいのかわかんなくなってきて…


「せ、先輩らしくないですね」


空笑いして、そんなこと言ってみちゃう。
っていうか、本当反応困るっ…


「真希ちゃん、俺のことも名前で呼んで」

「えっ、
…圭介、くん?」


私がこれまた絶対似合ってない"くん付け"で名前を読んでみた、けど


「…ぎこちなくてそれはそれでいいけど」


なんと、先輩は"くん付け"はダメなよう。
…なら最初っから言ってくれればいいのに。


「圭介、って呼んで」


け、圭介!?呼び捨てか!?

先輩に向かって!?呼び捨て!?


「け、圭介…っ」


ああぁぁぁあ!!なんかスイマセン!!
たぶん、この人のことを好きな人っているんだろうけど

そんな人たち、スミマセン!!

私なんかが呼び捨てしてスミマセン!!


「うん、それでよし」


…本当、ごめんなさい。
先輩の、こんな満面な笑みを見てしまって。

トクンっ、って…
鼓動を感じた気がして…ごめんなさい