よくわからないけど…とりあえず寂しそうな圭介をつれて圭介のアパートへとやって来た。
……圭介んちなんだけどね。私が連れてきたんだよ。

「んー、暑い」

「いきなりそれって」

「人んち来といて本当図々しいけどエアコンつけて」

「はいはい」


やっぱり、ここは暑い。
山とは違うわ。向こうは涼しかったな…
ここと標高が違うからな、そもそも。


「なーなー」

「ん?」


とりあえずエアコンつけて手も洗って圭介が私の分の麦茶も入れたところで
私の方に体を向けて座った。


「真希はさぁ、俺のどんなとこが好き?」

「はぁ?」

「俺のこと好きなんでしょ?
どんなとこが好き?」

「そんなこと急に言われてもわかんないんだけど」

「いや、考えてよ!」


えー、考えてよって言われてもねぇ…
いつの間にか一緒にいるのが当たり前になってて、圭介といる自分が当たり前過ぎて、それが崩れたらいやだし…ってそういうことじゃないよね。

どんなとこねぇ…


「……普通に、かっこいいとことか?」

「いや、見た目以外にして」

「はぁ?
……じゃあ、なんかわかんないけど、寂しがり屋なとことか、一緒にいてあげなきゃってなるかな」

「寂しがり屋~?」

「え、もしかして自覚なかったの?そんな寂しい人生で」

「寂しい人生言うな!!」

「あ、ごめん。
でもさ、なんかこう…本当捨てられた子犬みたいで、そばにいたくなるんだよね、なんか。
私がいてあげなきゃ!みたいな母性反応的な

放っておけないんだよね」


ひとりにしておけない。
ひとりにしておいたらどこかへいっちゃいそうな
遠くにいっちゃいそうな、そんな感じがこの人にはある。

だから、私がそばにいないとって…


「ふーん…なるほどねぇ」

「逆に、圭介は私のどこが好きなわけ?」

「俺はもちろん、真希が弱くて弱くてどうしようもないから俺がそばで守ってやんなきゃ!的な」

「あー、前にそんなこと言ってたね」

「なんかなぁ
なんでもやってやりたくなるんだよね
ほら、学校でいじめられてるってやつもさ、絶対そのままにはしておけなくて、登校日に真希のクラスに居座ったし」

「あぁ、あれはどうにかしてやろう的魂胆だったのね」

「そしてら柴崎くんにこくられそうになってるし」

「告白されてないけど」

「でも絶対柴崎くんはまだ真希のこと好きだよ!」

「・・・どうでもいいわ」


今となっては、私には関係ない。
今の私はもう、柴崎くんのことを好きではないんだから


「でも俺、あん時真希がすぐ戻ってきてくれて嬉しかったんだよね~
息まで切らしてさ」

「うるさいよ」

「そんくらい、俺のことが好きだってことだよね」

「黙って」

「照れんなよ~」

「それうざいわ」