帰りのバス、電車の中では圭介とこの2日間の思い出話に花を咲かせた。
私がお祭りでいなくなってすごく焦ったとか、北山さんと二人でいたの見てすごくむかついたとか、私が行かなかった花火での話とか……いろんなことを聞いた。

そして私も、北山さんに話した『ハッピーエンド』についての話をした。


「まぁ、確かに人間死ぬとき未練タラタラで死ぬだろうから、結局ハッピーエンドなんてないのかもなぁ」

「でしょ?架空の物語だからこそだよね」

「まぁでも、自分でも作れることは作れるんじゃね?」

「……どういう意味?」

「たとえばさ、今回のこともいろんなことがあったけど、今思えば楽しかったんだから、ハッピーエンドじゃん?」

「……まぁ確かに」

「だからハッピーエンドなんて、自分で作ればいいんだよ
もしかしたらこのあと喧嘩するかもだけど
……明日には別れてるかもだけど
それでも、とりあえず今終止符を打てば、ハッピーエンドってことで」

「終止符って言われるとちょっとあれだけど
……ハッピーエンドってけっこう軽いものなんだなぁ…」

「そりゃ人生はもっと重くて複雑なもんなんだから、ハッピーエンドだけを考えたら軽くなっちゃうよ」


……まぁそうだよなぁ
本当の終わりというものがないから、結局ハッピーエンドというものはないんだろうな。

かといって永遠もないんだけど…難しいなぁ


「ま、ハッピーエンドで終わらせるのは簡単ってことだよ」

「……なるほどねぇ」


まぁ人生楽しいばかりじゃないし
辛いことがあるからこそ楽しいことも楽しいと思えるんだろうし

人生は複雑、か……その通りだな。


「ん、もうつくじゃん」

「なんか帰りはあっという間だね」


これまたあっという間。本当に時の流れは早いね。

地元に帰ってきた私たちは電車を降りた。この空気を感じるのもなんだか久しぶりな気分。