「じゃあ、バスがもう少しで来るから俺らもう行くわ」

「お世話になりました」


二人揃って、居間でおじいちゃんとおばあちゃんに挨拶。
たった1泊とは思えない、濃い時間を過ごした。
たった1泊とは思えないほど仲良くなれたのに、もうお別れなんて本当に寂しいけど…
でも、きっとまた会えると思うから、『サヨナラ』は言わないよ


「気を付けてな」

「真希ちゃん、いつでもまたいらっしゃい」


だからほら、二人も特別なことは決してない。
またすぐに会えると思うから、さっぱりと帰ることにするよ


「うん、今度は圭介いなくても来よっかな」

「いやそれはさすがにひどい!」


なんて、4人で笑ってから私たちはこの家を出た。


「本当にあっという間だったなぁ」

「そんだけ楽しかったってことで」

「けっこういろいろあったけどね」

「昨日は喧嘩ばっかだったし」

「あはは、確かに」


バス停につくのもあっという間。まぁ本当にそれだけ近いんだけども。

バスが来るまであと数分。バスが遅れなければ、ここを離れるのもあと数分。やっぱり寂しいなぁ…最初は緊張もしたけど……


「……なんか、誰も見送りとか来ないんだね」

「あー、そうだね
いつも来ないよ。別に、永遠の別れとかでもないし。」

「それもそうだね」


決して遠いわけではない。ちょっと遠いだけ。
全く会えない訳じゃない。頻繁に会えないだけ。

会おうと思えば、いつでも会えるんだ。


「次こそはお祭りの楽しさをわかりたいな…」


結局、私は圭介の好きなものを好きになれなかった。
今思えばどうってことないことなんだけど…あのときは全然楽しくなかったから…


「そんな気合いいれなくても絶対楽しめるよ。あの祭りは」

「…そうだといいな」


また来年、私はここにこれるのかな
また私は圭介にここに連れてきてもらえるのかな

……また来年、ここで圭介と過ごせたらいいな…


「あ、バス来た」