「そんな気に入ってもらえたなら、連れてきた甲斐あるよ」

「私も、来てよかったよ
なんかいろいろ体験できたもん」

「そう?」

「うん。普段生きてたらなかなか体験できないものばかりだった」


なんか、いろいろ考えられたな。
いろんなことを感じて、いろんなことがわかった。

いろんな圭介を、見ることができた気がする。


「……また、来れたらいいな」


私がそういうと、圭介は少し儚い笑顔を

「……そうだな」

と、私に向けた。



お昼ご飯を終えると、私たちも帰る時間。
なんか、とても濃い時間を過ごした2日間だったから、帰るのが本当に寂しかった。


「真希、そろそろ行こう
バスの時間もあるし」

「……うん」


本当に、ここで過ごす時間はあっという間。
時の流れの早さを知る。


「…そういえば今日は将希の誕生日だ」

「え?あっ…」


そういえば、そうだ…


「圭介、よく覚えてたね」

「去年ハデに顔面にケーキ投げつけてやった」


・・・。

なんだ、それ。
どんな思い出なんだ……

中学生相手になにをやってんだ、圭介も……


「あれからもう1年か…早いなぁ」

「……去年の圭介はどんなんだった?」

「…言いたくねぇ~…」

「あはは、なにそれ」


苦笑いな圭介の表情。
きっと、いろんな楽しいことがあったんだろうな。

それを知ることはできないけど…でも、圭介が楽しかったならそれでいいや。


「あ、やべ時間」

「そうじゃん、そろそろ行こっか」


私たちはそう言ってやっと荷物をもってこの部屋を出た。