演奏後、着替えた奏が隣に座った。 「何か飲む?」 と尋ねるが、奏は無言のまま首を横に振った。 「じゃあ、帰ろ?」 と促して、立ち上がる。 俺は、奏の荷物を持ち、奏の肩を抱く。 この間まで、手を繋いだだけで焦っていた奏が、されるがままに寄り添って歩く。 奏の中で、何かが変わった? 「……… 最後の『愛の夢』 ………良かったよ。 ………ありがとう。」 自惚れかもしれないけど、俺はそう伝えたかったんだ。