最後の力を振り絞ってカーテンを閉めた私は、勢い良くうつ伏せにベッドに倒れ込んだ。


泣き過ぎて、今は泣く力もない。


仰向けに体を変え、ただただ天井を仰ぎ見る。


「疲れた……」


男になるのも、女になるのも。


ありのままの私も、“勇也”の私も。


いちいち性別を変えている生活に、私は疲れていた。


“勇也”を重要視したせいで、私は全てを男らしく変えた。


髪の長さも、振る舞いも、洋服も。


そんな中でまた“優希”として生活するだなんて、本当はやってはいけなかった事だったのかもしれない。



「もう……疲れた……」


先程から、私の口は


「疲れた」


という言葉しか発していない。


それは、それ程私が疲れ切っているという事で。


私は腕を顔に乗せ、目を閉じる。


早く、現実逃避をしたい。


夢の中でいいから、自由になりたい。


誰からも縛られる事なく、ただ自由気ままに。


(神様。夢の中での幸せだけは、私から奪わないで……)


私はそう祈り、また固く目を瞑った。



夢の世界が、私に向かって手招きをしている。


『おいで、優希。自由になっていいんだよ』


そう、甘い言葉をかけながら。


(うん……)


そして、


(眠い……)


そう思ったのを最後に、私の意識は完全に途切れた。