私の本音は、あなたの為に。

その日の帰り道。


私が花恋と一緒に家に帰っていると、ケータイのメールの着信音が鳴った。


「優希のじゃない?」


花恋に言われ、私はポケットからスマートフォンを取り出す。


メールが送られてきた相手は、五十嵐だった。


メールボックスを開くと、


『今日は、色々とありがとう』


という、たった1文の短い文章が綴られていて。


(え…)


何に対しての“ありがとう”なのか、いまいち良く分からない。


バーコードリーダーでスキャンする事を私がやってあげた事なのか、それとも


『読めない字があったら言って。…少しなら、教えてあげられるかも』


と提案した事だろうか。


どちらにせよ、五十嵐が有り難く思っている事は伝わってくる。


『いえいえ。また明日ね』


だから私は、そう五十嵐にメールを送信した。



「優希、誰から?」


何かの歌を口ずさみながら、花恋が興味津々で尋ねてくる。


「五十嵐からだよ」


「あっ、そうなの?」


花恋は、きょとんとした顔で私を見つめる。


「てっきり、優希のお母さんなのかと思った。…ほら、優希の家の電気、付いてないから」


そう言われ、私は頭上を見上げる。


もう、私達は私のマンションの近くまで歩いて来ていた。