「……何、言ってるの……?」


やはり、こうなると思っていた。


ママは、明らかに動揺している。


「勇也、嘘つかないで。あなたは、勇……」


「だから、私は優希!勇也……お兄ちゃんは、3年前に死んだんだよ!」


私は、必死に説明する。


「死んだ……?誰が?…あなたが勇也じゃない、?…じゃあ、あなたは誰?」



『う、えぇ……』


ショックの余り、謎めいたコメントを吐き出す五十嵐。


『優希、その調子!今の優希、めっちゃ格好良い!』


1人だけ応援を送り続ける、花恋。



「だから、お兄ちゃんは3年前に死んでるの!電車の接触事故で!私は優希で、お兄ちゃんの妹!…分かるよね?私は、優希なの……」


思わず零れ落ちる涙を拭う事もしないで、私はママの記憶の奥底まで届く様に話し続ける。


「ママが私の事忘れてたから、私はずっとお兄ちゃんになりきってたの……。ママ、自分に娘が居たって……覚えてるよね……?」


怖い。


怖すぎる。


返事を、聞きたくない。



けれど、そんな思いは虚しく。


ママは、口を開いた。


「あなたは……勇也よ」



それは、まるで自分に言い聞かせている様に聞こえた。