私がママにカミングアウトする条件。


それは、時刻は夜で、私のママが家に居る事。


そして、私とママが夕飯を食べ終え、お風呂にも入った事。


それから、花恋と五十嵐が長時間私と電話で話せる状況にある事。



｢私の所は平気。2人は？｣


私が問い掛けると、


『私はばっちり！…途中、ピアノの音が聞こえるかもしれないけど、気にしないで…』


花恋からの返答と。


『俺も大丈夫。親には本読むって言っといたから、最低1時間は俺の部屋を覗かないだろうな』


五十嵐からの、自信たっぷりな言葉が返ってきた。



『…もう、言うんだよね？』


それから少し3人で他愛もない事を話した後、不意に花恋が真面目な口調で私に尋ねてきた。


｢うん、……｣


私は僅かに頷いたけれど、やはり緊張と恐怖で覆い潰されそうになる。


(ママに拒否されたらどうしよう)


(こんなに頑張って予定立てたのに、言えなくなっちゃったらどうしよう)


(説明、きちんと出来なかったらどうしよう)


(そもそも、泣いちゃうかもしれないし)


(怒ったママに“出て行って”とかって言われたら、どうしよう…)


(ママと私の関係が悪化したら、どうしよう…！)


考えれば考える程、不安要素は沢山見つかるもので。