そして、運命の日曜日。


夜の7時半。



私もママも早めの夕飯を食べ終え、お風呂にも入った後。


私は自室へ入り、2人とグループ通話を始めていた。


「…もしもし?聞こえる?」


『んー、聞こえる…ハックション!』


すぐに電話が繋がった五十嵐の盛大なくしゃみで、私は思わず、ママに電話をしている事を気付かれない様にと耳に付けていたイヤホンを外しかけた。


『私も聞こえてるよ。ってか五十嵐、携帯電話の近くでくしゃみしないで。うるさ過ぎて電話切りたくなるから』


あの佐々木の一件以来、たまに五十嵐や佐々木に対して、私と話す時とはまた違う対応を垣間見せている花恋。


花恋は、丁度五十嵐がくしゃみをする直前に電話の通話ボタンを押した様だった。


『ごめんごめん。…あー、鼻がムズムズする…』


さっき部屋掃除したわけよ、そしたらさ、埃がね…、と、要らぬ言い訳を始めた五十嵐。


『それ、明日聞いてあげるから。今は違うでしょ』


五十嵐の暴走を止めたのは、やはり少しイラついた様子の彼女だった。


『はい、ごめんなさいやり過ぎました。…そんな事より、安藤。そっちはもう平気なの?』


「ああ…」


“もう平気なの?”という彼の言葉。


それは、私達がグループトークでのやり取りの最中に決定した事だった。