私の本音は、あなたの為に。

今しかない。


彼にこの事について聞けるのは、今しかない。


五十嵐が、何故こうなったのは分かった。


けれど、これだけは分からない。


(私も、少し前に教えたんだから。…五十嵐も、教えて)



私は、目の前の机にわざと音を立てて自分の手を置いた。


「!?」


その音に反応した五十嵐は、びくんと身体を揺らしてこちらを見て。


「五十嵐」


私は、真剣な顔で五十嵐の顔を見た。


「っ…何?」


五十嵐が、たじろぐのが分かる。


「五十嵐、私に隠してる事あるよね?」


「っ、」


「……五十嵐、隠してる事、あるよね?」


もう1度、同じ事を問い掛けると。


「…俺も、今からその事話そうと思ってたんだ。でも、何て言って始めたらいいか分かんなくて」


ずっと黙りこくっていた彼は、10数秒後やっと口を開いた。


「うん」


受け答えをしてくれた事に、私は密かに感謝をしながら頷いた。


五十嵐は、大きく息を吐いた。


「多分、さっきの話よりももっと長くなる気がする。…それでもいい?」


そして、私の目だけを見て尋ねてきて。


まるで、周りには敵しか居ないとでもいうように。


「全然、大丈夫」


私も彼の目を見詰め、しっかりと頷いた。


私の返事を聞いた五十嵐は、まるで精神統一でもするかの様に、少しの間目をつぶっていた。