私の本音は、あなたの為に。

言いたくなければ言わなくてもいいけど、ときちんと拒否権を渡すと。


「…いや、言うよ。…俺ね…今日の放課後、佐々木に呼び出されたんだ」


多分他の事も話さなきゃならないし…。長くなると思うからから座りなよ、と五十嵐はいつもの席に座りながら話し始めた。


私もリュックを隣の椅子に置き、いつもの席に座った。


「図書室に来いって言われたから、最初は一緒に勉強して欲しいのかなって思って、係の仕事よりも10分位早くに図書室に行ったんだ」


「佐々木は、自ら勉強なんてする人じゃないよ」


私は、冷静に突っ込みを入れた。


「いや、俺もあいつの事良く知らなくて。違うクラスだし。…それで、図書室に行ってしばらくしたら佐々木がやって来て」


その後、佐々木は五十嵐に目もくれず、足早に本棚へと向かったという。


「で、何冊か本を持って来て。俺、佐々木がその本を借りるのかと思ってカウンター席に居たら」


『五十嵐、ちょっと来て。…これ、読めよ』


佐々木に、そう言われたらしい。


「はあっ?…あいつ本当に…」


思わず“勇也”になりかけた私は、五十嵐が驚いて私を見ているのに気付き、


「あっ、ごめん。良いよ、話して」


と、続きを促した。