私の本音は、あなたの為に。

｢いえいえ。…でも、ごめんね？何か勝手に私と花恋が色々言っちゃって…。途中から、私達が何言ってるか分からなかったよね？｣


｢うん、分かんなかった。…けど｣


床に無造作に置かれた自分のリュックを取った五十嵐は、それを机の上に置きながら言葉を続けた。


｢聞いてて、楽しかった。…それにしても、さすが安藤だね、めっちゃ男っぽかったよ。…後、宮園って、あんな風に怒るんだね｣


｢あっ…うん、どうも。…うん、花恋の変貌は凄いよね｣


何て反応していいか分からない私は、取り敢えずそれなりに感謝の気持ちを述べ、花恋の行動に遠回しに突っ込んだ。


中学の時も、花恋はああやって佐々木に怒ってくれた。


内容は、私をからかったから。


今もきっと、花恋は学校のどこかで佐々木が私に吐いた捨て台詞について、淡々と佐々木に怒りをぶつけているのだろう。



思わず笑いそうになった私は必死で口角を下げ、図書室に入る前から思っていた疑問を、五十嵐に直球でぶつけた。


｢…それにしても、何であんな事になってたの？｣


そう。


私達は、事の始まりから現場にいた訳では無い。


どういう理由で五十嵐が胸ぐらを掴まれなければならなかったのか、私もよく分からなかった。


私が図書室に来た時は、五十嵐が字を読めないという話題になっていたから、元々その話題から始まったのだろうか。