「そもそも、お前此処の高校に良く入学出来たな」


何となくそう言うと、花恋は“さすが!”と言いたげに、私をさっと指差した。


「優希、めっちゃ良い事言うね!私もそれ思ってたの!…佐々木、どうせ替え玉受験したんでしょ!分かってるんだからね!?」


(花恋、面白いっ!)


「替え玉受験っ!?そんなの、してるわけ……」


私達の怒りと呆れは、どんどん大きくなっていく。


この際、話がそれても仕方無いだろう。


「ふーん、だからこうやって人を傷つける様な行為が出来るんだな。…クソすぎる、もう呆れたわ」


“勇也”と化した私の台詞に、五十嵐が目を見開いた気がした。


「はあっ?何根拠の無い事を…」


「そっちが先に、根拠の無い事言い始めたんだろ!?」


意味が分からない、と、私は大袈裟に肩をすくめてみせた。


「佐々木、中学の時で懲りたと思ってたのに…。反省文も、確か書いたよね?…今回も、書くんじゃない?」


ここぞとばかりに、花恋が笑いながら佐々木の昔の記憶を呼び覚ます。


五十嵐は私達の会話についていけず、口を挟むことなく窓際でただ私達を見ていた。


「っ……」


「もう、俺らと関わらないで」


何だかんだ言って私たちに反論するのを止めてしまった佐々木に、私は低い声でそう言った。