私の本音は、あなたの為に。

「本当に、ごめんね。……なんか私、もう限界みたいなんだ」


その言葉を聞いた花恋の目から、一筋の美しい涙が零れ落ちた。


「っ……優希、」


けれど、花恋は続くはずの言葉を必死に飲み込み。


「頑張れ。……あっ!私、本探して来なきゃ!」


そう、わざとらしくこの場を離れてくれた。


きっと、私が言葉に詰まった時に助けに来てくれるのだろう。



そして。


「あー……五十嵐、座ろ?」


この微妙に堅苦しい空気をどうにかしてほぐそうと、私は提案した。


「あ、うん…」


五十嵐も、私の口調の中に秘められた重みがいつもと違う事に気がついたのか、妙に真面目に頷いた。


そして、五十嵐が椅子に腰掛けた瞬間。


「…その…知りたいんだよね?」


私は、決意を固めてそう質問した。


(もう、どうなってもいい。全部、知らない)


もしも五十嵐が口が軽かったら、私の秘密は半日も経たないうちに全学年へと広がるかもしれない。


私の秘密は、それ程興味を持つもののはずだから。


五十嵐との関係は、悪くならないで欲しい。


それと共に、花恋と五十嵐との関係も悪くならないで欲しいのだ。


私だけが、この問題を解決する鍵を持っている。




私の本音は、あなたの為に。



私の問いに、五十嵐は素直に頷いた。


「そっ、か……」


私はふっと息をつき、再び口を開いた。