私の本音は、あなたの為に。

「えっ、あ、被っちゃった、ごめん……」


私と声が被った事に、五十嵐は早くも頭を下げかける。


「えっ、いや、大丈夫……あと、あの…償いとか、そういうのは要らないよ」


頭下げないで、五十嵐はそんなに悪い事はしてないんだよ、と、私は彼に言葉を投げかける。


「ちょっ、優希……」


いかにも不満を丸出しにしている花恋に、私は大丈夫だと伝える。


「…昨日は、私の注意が散漫になっていたから…自分でまいた種は、自分で片付けないと」


「自分でまいた種?……えっ優希、止めて、駄目だよ!」


私の言葉をオウム返しにした花恋は、次の瞬間に目を見開いて私に詰め寄ってきた。


「嘘でしょ優希、本気なの?」



そう。


私は、これから本当の事を言うのだ。


このままでは、私の事を想って行動している花恋と、どうしても昨日の私の行動について知りたがっている五十嵐が仲違いになる可能性もある。


そうしたらそれは全て、私の責任だ。


そうなる事だけは、否が応でも絶対に避けたい。


「花恋、わがままでごめんね」


小声で話しているはずなのに、私の声はやけに大きく図書室に響いた。


「…ううん、決定権は優希にあるから。…優希がそう言うのなら、私は応援するよ」