私の本音は、あなたの為に。

部屋の中に、重苦しい程の沈黙が流れる。


微かに聞こえてくるのは、少し遅めの夕飯作りをママがしている音。


そして、ブーッブーッという、スマートフォンの着信音。


スマートフォンの、着信音。


(え、私のスマホ、鳴ってる?)


スマートフォンをマナーモードにしていたから、部屋の中が静かになるまで分からなかった。


いや、元から部屋は静かだった。


つまり、私がママについて色々考えていたから、気付かなかった。


(そんな事より!)


私は頭を振り、自問自答を繰り返す自分自身に蓋をして、慌ててベッドの上に置かれたスマートフォンを手に取った。


着信は、五十嵐からだった。


(五十嵐?)


滅多に来ない人からの着信に驚きながらも、私は通話ボタンを押し、スマートフォンを片耳に押し付けた。



「はい」


『安藤!お前何してたんだよ、俺何回もメール送ったんだけど!』


私が声を出した瞬間、通話口から五十嵐の苛立った声が聞こえてきた。


「え、嘘!ごめん、気付かなかった…」


そう言いながら、私は通話を切らずにメールボックスを開いた。


なるほど、そこには五十嵐からの大量のメールが届いていて。


『安藤、聞きたいこがあるんだけど』

『ねえ、返信して』

『おーーい』

『電話するゆ?』