私の本音は、あなたの為に。

その2つの選択肢から、選べるのは1つだけ。


けれど、兄になろうと決めてもなり切れない、中途半端な自分が居た。



(私って、何なんだろう)


(結局、何も出来ないのに)


(…私は、誰?)


花恋のメールを読み返した私は、スマートフォンを机の上に置きながらそう考えた。


(今まで、色々な事を考えて実行してきたけど)


「結局、私は誰なの?何なの?」


いつか、自分を1つに統一しなければいけない事は分かっている。


学校での“優希”と、家での“勇也”と。


今まで、沢山決意して、実行してきた。


けれど結局は、挫折してしまう自分が居る。


家の中で兄になりきる事を選んでも、最後には苦しくて泣いてしまう。


だからといって、家の中でも優希にはなれない。


「もうっ、どうすればいいの…?」


私は、顔を両手に埋めた。


手のひらに、涙が伝う。



そうして、私の長い長い夜は過ぎて行った。