「大ちゃんのアドバイス通り、全部頑張ってこなすから」


(大ちゃん。私は、ママの為ならこれ以上壊れたって構わないんだ)


「大ちゃん、ありがとう。…だから、返事して……」


私はベッドに座り、スマートフォンを握り締める。



その時だった。


『……ゆ、うきちゃん』


確かに、電話口から大ちゃんの掠れた声がした。


『絶対に…諦めちゃだ、めだよ』


ハァ、ハァ……うっ、っ……


時折、痛みを堪える様な大ちゃんの呼吸が聞こえて来る。


『…俺も、現実…逃避しない様に……、髪の毛、染め直すからっ…ピアスも…取るって、決めたんだ…』


「うんっ…」


(大ちゃんっ!!)


私は、大ちゃんが返事をしてくれた喜びで感極まっていた。


「私もっ…!私も頑張るから、大ちゃんも手術頑張って!!」


『フッ……』


電話口から、息も絶え絶えな笑いが聞こえてきた。


『…今は、手術よりもこっちが……大変だよ…』


大ちゃんが、冗談を言った。


それは、倒れても彼はまだまだ元気だという事で。


「うん……」


私がそう言った直後、


『救急車来ましたよ!…もう大丈夫ですよ!…この携帯電話、切りますね』


女性の声がした。