(えっ?)


恐る恐る振り返ってみると、校門の前でうろうろしていたあの男性がこちらを見ていた。


けれど、私はその人を知らない。


髪の毛は所々金髪で、大半は地毛であろう黒髪が占めている。


けれど、私の周りには髪の毛を染めている友達は居ない。


しかも、その男性は濃い紫色のサングラスをかけている為、表情が読み取れない。


「……誰ですか?」


そう尋ねる事しか出来なかった。


「えっ、優希ちゃんだよね?違うの?」


その男性は、心底驚いた様にそう聞き返してきて。


私はゆっくりと頷く。


「そうだよね…なら、俺の事分かる?」


その男性のミラーレンズに映った私の表情は、驚く程に怯えきっていた。


「…分からない、です」



(私、何か悪い事した…?)


何となく見た目が怖いせいか、私は自然とそんな事を考え始めていた。


しかも、よくよく見ると片耳にピアスもついている。


(チャラい…)


その男性の威圧に耐え切れず、私が1歩後ずさりをした時。


「これでも?」


口元に笑みを浮かべたその男性は、もったいぶりながらゆっくりとサングラスを外した。


「あっ……」


そのあらわになった顔を見て、私の口から驚きの声が漏れる。