2時間目を過ぎた頃から徐々に曇り始めた空には、雨の気配が色濃くたちこめていた。

このままもし雨になったら、放課後まで降り続けるかもしれない。

そう思いながら、机の横に引っ掛けたスクールバッグに視線を落とす。

いつもなら、雨が降り出すと憂鬱で憂鬱で仕方ない。

もちろん今日だって雨が憂鬱なことにかわりないのだけれど、今日の放課後だけは雨だと好都合ではあった。


「へー、そうなんだ。すごーい!」

授業の合間の休憩で少しざわついた教室内に、少し高めの女子の声が響く。

中でも、一番よく通っているのはうちのクラスの女子の中心グループにいる清水さんの声だった。

彼女たちのグループは女子だけで固まって話しているときもあるけれど、1日に1回以上は佐尾くんが属する男子の中心グループに絡みにいっている。