そんな感じで、私はたぶん佐尾くんのことを一方的に知ってる。 「今日もいれてくれてありがとう」 花柄模様の傘が、佐尾くんから私の手へと移動する。 「帰り道、気をつけて」 傘を離した手を振りながら佐尾くんが笑う。 その笑顔に、自分でも理解不能なくらいに激しく胸が騒いだ。