保健室のベッドから起き上がって窓の外をみると、しとしとと雨が降っていた。

私がここにやって来たときよりも空が薄暗い。

今、何時だろう。

ベッドの脇に揃えて置いた上履きに足を入れながら薄いレールカーテンを開くと、その音に気がついた保健室の先生が振り向いた。


「起きたのね。気分はどう?」

そう言って立ち上がると、先生が私に歩み寄ってくる。


「もう、大丈夫です。え、っと、今って……」

元々体調不良だったわけではないから、心配そうな先生の目をまっすぐに見返すことができない。

時計を探して視線を動かしていると、先生が白衣の袖を軽く捲って言った。


「もう下校時刻よ。ちょうど少し前にSHRが終わった頃じゃないかな」

「下校……」

調理実習があったのは3、4時間目。

どうやら私は随分寝てたらしい。