そういえば、ショコラの写真が撮れたら欲しいって何度も言われてた。

スクールバッグからスマホを取り出すと、足元で寛ぐショコラの姿を写真に納める。

取り乱した私を見て佐尾くんがどう思ったかはわからないけど、もし明日学校で話をするチャンスがあれば見せようと思う。


「またね」

気まぐれに甘えてくるショコラをもう一度撫でると立ち上がる。


「トモくん、お邪魔しました」

奥の部屋にいるトモくんに声をかけて、玄関のドアを開ける。

学校を出た時はあんなにも激しく降っていた雨は、もうすっかり止んでいた。

雨の匂いが混じる空気を思いきり鼻から吸い込む。

そのとき、ふと持っていた折り畳み傘のことを思い出した。

スクールバッグには入ってなかったし、トモくんの玄関先にも置かれてない。


「トモくん、私の傘知らない?」

玄関のドアを閉めてそこから奥に向かって呼びかけたら、トモくんがのろのろと出てきた。