「でしょ。だけど何日か前、雨じゃないのに遊ぶの断られたの」

「そりゃ、そういう日もあるんじゃない?」

「知ってるよ。同中の子とバスケする約束してたりとか。でもそういう理由だったら教えてくれるの」

「そーなんだ?」

「そーなの。なのにその日は理由も言わずに、焦るようにそそくさ帰って行っちゃって。気になるからこっそりあとつけたらさ……」

「待って待って。あとつけたの?いくら佐尾くんのこと好きだからって、美帆ちゃんそれストーカー」

「いや、違うって。最後まで聞いてよー」

ぶはっと吹き出して笑う声に、恥ずかしそうな嬌声が重なる。

盛り上がる彼女達の声を聞きながら、私はただ女子トイレの前で青ざめていた。


美帆ちゃん。

その名前で、今話している女子のひとりが清水さんだとわかったから。