新井くん…って

やっぱり…整った顔してる。

輪郭、鼻筋、唇……

それにあの瞳…本当に引き込まれそうになる。

顔だけ見ると本当にカッコイイ…のかも。

こんなキレイな男の子ってそういない…。

この前、近くで見たら睫毛長かったし…

女の私より長いなんて…羨ましい

……って、見とれてる場合?

いかん、いかんっ…

私は、教師なんだから…

生徒をそんな風に見るなんて…!

「……質問…していい?」

そんな私に新井くんは、話を続けた。

「あ、うん、質問…ね。

どこかわからない所あった?」

私は、再び教卓から新井くんを見た。

すると彼は教科書をパタンと閉じた。

あれっ……?

「…新井くん?」

そう言って私が

彼の顔を不思議そうに見ていると…

「あの…猫、元気?」

彼は不意に呟いた。

「…えっ。」

猫…?

その時…

あの雨の日がフラッシュバックのように

鮮明によみがってくる。

怒鳴りながら、何人もの厳つい男を

殴り飛ばしていた姿……。

鋭い目……。

ドクン……

「……あ、うん…げ、元気です。」

思わず…敬語になってしまう。