「……はぁ」

新井くん…どこにいるのかな?

私が教室のドアを閉めて

歩き出そうとすると

「……先生っ。」

ふと、声がした方に振り返ると

「……河津さん。」

クラスの生徒の河津 咲希(かわず さき)

が私を見ていた。

「どうしたの?」

私が河津さんに近寄ると、彼女は

私に小さな声で言った。

「私、新井くんがどこにいるのか

知っています。」

"新井くん…いつも昼休みに

中庭のベンチに座っています。"

私は、河津さんから聞いた通りに

中庭に行くと、新井くんは

ベンチに座っていた。

「あ、あ、新井くんっ。」

久しぶりに話かけたので思わず

声が裏返ってしまう。

何で私、こんなに緊張してるのっ?!

私の声で新井くんが私を見ると

彼は、少し驚いたような顔で

私の方を見ていた。

「……あっ、新井くん……

ちょっ、ちょっと…いい? 」

今度は、少し噛んでいる自分が少し

恥ずかしくて

思わず、咳き込んでしまう。

「ゲホッ……ゲホッ。」

本当に……情けない。