結局その日は、彬良くんに近所を案内してもらうことにした。ときおり手が触れあえば、そのまま自然とふたりの指がからまる。

少しずつ彬良くんとの暮らしに慣れて、この街にも慣れてゆきたい。

途中でかわいいカフェでお茶をして、それからスーパーで食材を買って帰宅した。
夕飯を作ってふたりで食べて、食後はお茶を飲みながらDVDを観た。

その後は———

「明日仕事だから、あんまり激しくしないようにしないとな」
薄闇のなかの言葉は自然と密やかなものになる。
「自信ないけど」そう続けて、彼がわたしの首すじに舌を這わせる。そこからじわじわ熱が広がってゆく。

それにしても彬良くんの口から「自信がない」なんて言葉を聞いたのって初めてだ。

二回目だけど痛みはほとんどなく、わたしは彼の与えてくれる刺激を感じて、そして自分のうちから生まれてくる感覚をとらえようと一生懸命だった。
ひとつになりたい、と願う。

「無理しないで」しがみつくわたしに、彬良くんがやさしくささやく。
「ゆっくり俺の色に染めていくから」

ずるいなあ、何でもできちゃうんだから。ちらりと彼の過去に嫉妬してしまうけど。

わたしは幸せだ。信じられないくらいに。