極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

「わたし、明日の朝用にすこしお買い物してもいい? 牛乳とか果物とか」

そりゃもちろんと、彬良くんはすこし不思議そうな顔をする。
「当座の現金は、リビングのテレビボードの向かって左から二番目の引き出しに入れてあるからそれ使って」
説明がよどみなく口から流れる。

「い、いいよ彬良くん。お世話になってるんだから、それくらいさせて」
慌てて言う。

「律儀だな、そよかは」彼がクスッと笑う。

だって、と言いかけると。
「でもここは俺のポリシー。彼女に俺のことで金を出させたくないんだ」
ときっぱり告げる。

恋愛初心者のわたしでも、抗っちゃダメだって分かった。それは彬良くんのプライド。とても大事なものだ。

そうして彼の運転する車は、会社ビルの地下駐車場になめらかに入っていった。

ついキョロキョロ周りを見回してしまう。芸能人じゃあるまいに。でもやっぱり気になる・・・
彬良くんはといえば堂々としたもので、気にしている様子はない。
誰かに聞かれたら、ほんとに「婚約して一緒に住んでます」って言っちゃうんだろうか。
そんなことを思いながら、ふたりでエレベーターに乗りこんだ。