極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

午後2時、3時という時間帯は、プレスにとっては電話の時間だ。
フレックス勤務をしている編集者も会社にいることが多いし、ちょっと落ち着いた午後の時間を狙って、北川さんや香織さんは電話をかける。

今日も香織さんが先ほどから、電話をしている。相手はたぶん雑誌の編集者だろう。

「このあいだのそちらに掲載してもらった写真なんですけどねぇ。ええ、特集ページをいただいたのにどうして2ページはモノクロ仕上げにされたんですか? え?、クラシカルな雰囲気を出したかったから。でもねえ、あれだとせっかくの生地の質感が全然伝わらないんですよねー」

ちゃきちゃきと早口でしゃべる北川さん、鋭くはっきりした物言いの美奈さんに対して、香織さんはおっとりした口調を崩さない。

それでも言うべきことは、言う。相手の編集者だって、プロだ。
ときに互いの意地とプライドがぶつかり合う。ここは女の戦場だ。

そっと香織さんを盗み見る。
戦う女性は鎧の代わりに、洗練という名の戦闘服を身にまとう。

今日身につけているカーキ色のセットアップは、人気スタイリストとコラボして作った今シーズンのものだ。