極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

彬良くんのお母様とうちの母は高校時代からの友達という間柄だ。
うちの母はいわゆる専業主婦だけど、あちらのお母様は代官山のインテリアショップで店長をしている。
「雇われよー」なんて本人は謙遜するけど、センスのいい女性として、時々雑誌にも登場している。
そもそも帰国子女で英語に堪能。成績優秀でおまけに美人、と高校生の時からそれは目立っていたそうで。

なぜうちの母と仲がいいのか、考えてみると不思議だったりする。

ともあれそんな才媛のお母様と、エリート商社マンのお父様という家庭の一人っ子だった彬良くんは鍵っ子でもあり。
お手伝いさんが来ない日や、お母様の帰宅が遅い日はよくうちで一緒に夕飯を食べていた。

夕飯を食べ終わったら、わたしの宿題をみてくれたり、一緒にテレビを見たり。
そのうちに彬良くんのお母様が迎えにきて、ひとしきりうちの母としゃべって、彬良くんと帰ってゆく。

おしゃれなレストランの食事とは違うけど、穏やかな日常があった。

「あんなのでよければ、作ってみるよ」
って素直にうなずいた。

「楽しみにしてる」

単純だけど、そう言ってもらえると嬉しくて、なに作ろうかななんて考え始めている。