極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

もう彼は幼なじみの彬良くんじゃない。お付き合いしてる人なんだって、頭では理解しているつもりでも、長年の感覚はなかなか抜けない。

ランチの席につくと、わたしがとりとめもなくしゃべって、彬良くんがアドバイスをはさむ、といういつものパターンになっている。
同じ会社にいるから、余計に仕事のこととか社内の誰それの話もしてしまって。これじゃあ会社のランチタイムとあんまり変わらないな、って思ったり。
恋人同士の会話ってなんなのか、よく分からない。恥ずかしながら、いたことがないから。

「お互いを知ってく過程がドキドキするんだよ」なんて女友達が言っていたけど。
お互いのことなら、もう家族ぐるみで知っているときはどうすればいいんだろう。

メインの鴨のゼリー寄せを二人でシェアして、「おいしいねー」と頬張っていると、「今度そよかに料理作って欲しいな」と彬良くんが言い出した。

「えっ、こんな料理作れないよ」
ちょっと慌てる。

「レストランの料理求めてるわけじゃなくってさ。おばさんが作ってくれたみたいなやつだよ」

おばさんとは、わたしの母のことだ。