極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

そうか、彬良くんならアメリカに行く機会もあるもんね。経営企画部となれば、海外出張はつきものだ。

「ニューヨークの美術館なら常設で展示品も多いからな。いつかそよかも連れて行きたい」

彬良くん、それって旅行ってこと? それとも・・・

斜め上にある彬良くんの横顔を見上げていると、不意に手のひらが温かいもので包まれる。
彼の手はわたしよりもずっと大きくてしっかりしている。まぎれもない男の人の手だ。

つながれた手のひらから、じんじんと熱が広がってゆくみたいで。こんな感覚は初めてだった。


会場を後にして、彬良くんはふたたび車を走らせる。

「広尾にたまに行くフレンチがあるんだけど、そこでランチでいい?」

「わたしならどこでも。べつにファミレスでもいいよ」

「デートなんだから、ファミレスはないでしょ」
彬良くんは、ちょっと呆れ顔だ。

そうか、そういうものなのか。
デートでファミレスはない、と心のメモ帳に書きつける。
つくづく恋愛偏差値が低いな、わたし。