極甘同棲～エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

初めてEurekaに行ったのも、商品を買ったのも、彬良くんとだった。

あの頃には、二人とも数年後にはEurekaで働くようになって、そしてこうして———彬良くんと付き合うことになるなんて、想像もしてなかった。

近代美術展はかなりの盛況だった。
どちらかというと年配の人が多いから、雰囲気は落ち着いていたけれど。

目玉の有名な画家の作品は人だかりで、なかなか近づけないくらいで。

人混みを避けて、現代アートのコーナーを観て回ることにしたけれど、こちらも意外に面白かった。
段ボールのキャンバスにガラクタを貼り付けた、まるで夏休みの自由工作みたいな作品があるかと思えば、電話を模った巨大なオブジェが飾ってあり、絵の具がコポコポと噴水みたいに湧いている様子を見せている展示がある。

「美術とか芸術っていわれてもよく分からないけど、なんか発想が自由で面白いね」
隣の彬良くんにそんな感想をもらす。

「そうだな」

「彬良くんやっぱり絵画のほうも観る？　なかなか空かないみたいだけど」

いやいい、と彬良くんは首を振る。
「アメリカに行くときに観ればいいし」