極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

「服が無理なら、小物とかさ」

彬良くんが手を引いて、店の一角に導いてくれた。
服だけじゃなくて、ファッション小物も充実している。

素敵だけど・・・こんな個性の強いアクセサリー、やっぱりわたしには無理だ。アクセサリーに負けちゃう。
似つかわしくないってことだけは分かった。

悲しげにガラスケースに目を落とすわたしに、そよか、と彬良くんの声がかかった。

「この傘とか、どう?」

梅雨の前という時節柄か、傘も何本かディスプレイされていた。カゴから彬良くんが一本の傘を抜きとる。
赤い傘だった。繊維に少しオレンジが混じっているのか、明るさと柔らかさを感じさせる綺麗な色だ。

素直に受け取って、広げてみた。柄はないけれど、赤い布にこげ茶の柄、丸みのあるフォルムがしっくりと調和して、シンプルだけれどおしゃれな傘だった。

「わあ素敵!」って思わず口にして傘をさしてポーズをとる。

「似合うよ」

彬良くんに言われて、自分が笑顔になるのが分かった。

それから数年たった今も、あの時の傘は雨の日の大事な友だ。憂鬱な雨も、お気に入りの赤い傘をさしていれば気分が明るくなる。
鮮やかな赤い色は少しもあせることはなく、柄の木の肌はいっそう深みをまして手になじんでいる。
Eurekaが扱う商品の質の高さを使うたびに実感して、今自分がその会社に勤めていることが誇らしくもなる。