どれだけ目をそらしても、引越しに気をとられているふりをしても、別離は確実に迫ってくる。
しばらく彬良くんのマンションにお世話になっていたから、下世話な話だけど、生活費はだいぶ助かったんだよね。そのぶん貯蓄に回せたから、敷金・礼金とかはだいじょうぶ。間取りはひとりで住むから、1Kでじゅうぶん・・・
体と思考が動きを止めてしまう。
———そうだ、ひとりで住むんだ。そこに彬良くんはいない。
自分で決めたことなのに、これが互いにとって最良の道だと信じて選んだのに、後悔するまいと誓ったはずなのに。不意打ちのように襲ってくる悲しみは、どうしようもなかった。
泣くな、そよか。ひとり寝るベッドで、唇を噛みしめる。
きっと誰もがこうやって、恋をしてそして失って、その悲しみを乗り越えて成長してゆくんだろう。
恋愛初心者のわたしは、初めて失う恋の大きさ重さにのたうっていた。
しばらく彬良くんのマンションにお世話になっていたから、下世話な話だけど、生活費はだいぶ助かったんだよね。そのぶん貯蓄に回せたから、敷金・礼金とかはだいじょうぶ。間取りはひとりで住むから、1Kでじゅうぶん・・・
体と思考が動きを止めてしまう。
———そうだ、ひとりで住むんだ。そこに彬良くんはいない。
自分で決めたことなのに、これが互いにとって最良の道だと信じて選んだのに、後悔するまいと誓ったはずなのに。不意打ちのように襲ってくる悲しみは、どうしようもなかった。
泣くな、そよか。ひとり寝るベッドで、唇を噛みしめる。
きっと誰もがこうやって、恋をしてそして失って、その悲しみを乗り越えて成長してゆくんだろう。
恋愛初心者のわたしは、初めて失う恋の大きさ重さにのたうっていた。



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)