極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました



幸いに、といっていいのか、その後はすぐに現実的な問題が押し寄せてきた。
なにせ彬良くんは仕事の引き継ぎと、ニューヨーク移住を同時進行でこなさなくてはいけない。わたしも新しく住むところを見つける必要があった。
以前一人暮らしをしていたマンションは、彬良くんとの生活が軌道に乗った頃合で引き払っていたから、また一から探さなくてはいけない。

「国際宅急便なんか使っちゃうと、とんでもない送料がかかるんだよな。向こうで買ったほうが断然安いくらい。そうはいっても、船便だと着くのに一ヶ月以上かかるから早めに手配しないと」

「ひえー、やっぱり住む国が変わるって大変だね」

「向こうじゃ手に入らない日本語の本とかはやっぱり持っていきたいけど。あとは本当に愛用品だけだな。それ以外は、処分するなり、実家に引き取ってもらうなりしないと。そよかも、なんか欲しいものがあったら言って」

「うん、荷物整理とか、できることは手伝うから」

「ありがと」

わたしたちは顔をあわせると、ただ目の前の現実的な話をしていた。そうしていれば感傷的にならずにすんだから。