極甘同棲~エリート同期の独占欲を煽ってしまいました

「わたし、彬良くんに行ってほしい」
すんなりそう言うことができた。

返事の早さと迷いのなさに、彼が意外そうな視線をこちらに向ける。

「わたしは日本に残るから」
そう決めていた。

「どうして・・」
彬良くんが彼にしては珍しく言葉を失う。

「もしもだけど、いま仕事を辞めて彬良くんについていったとして。わたしは英語が喋れないし、環境が変わるストレスに耐えられるか自信もなくて。彬良くんのお荷物になっちゃうから」

「俺は・・本音を言えば、そよかに一緒に来てほしかった」
こわばった表情で彼が口にする。

「それならまず、彬良くんにふさわしい相手にならないと。彬良くんを支えられるくらい」

「俺は、そよかにいつも支えてもらってる」

ごめんなさい、とわたしは告げるしかなかった。
「彬良くんと今のわたしじゃ釣り合わない。彬良くんは・・・服に例えれば、一流メゾンのプレタポルテみたいな存在なの。わたしには分不相応だから。分不相応なものを無理に身につけても、自分が苦しいだけなの。たまたま子どもの頃から触れていたから、袖をとおすことができたけど・・・」

訥々と、自分の気持ちを正直に伝えてゆく。