「お店の人には悪いことしちゃったね」
憤然とした足取りでレストランを出て行った三崎さんを視界の端で見送って、彬良くんにささやく。
「そよかはそうやって、周りを見すぎるんだよな」
と彼は言う。
「周りを・・?」
「うん。だから断れなかったんだろ? 誰かに迷惑かけたくないとか、諍いを起こすとお店の雰囲気が悪くなっちゃうとか。そうやって自分より周りのことを考えちゃうからな。そこにつけ込んで、酒をがんがん飲ませて、そのままホテルの部屋に連れ込むつもりだったんだ」
えっ、と思わず声がもれる。
そういえば・・ここはホテルだった。まさか、と思うけど、あのまま酩酊するまでお酒を飲まされていたら、どうなっていたのか。想像すると、肝が冷える。
「で、でも、彬良くんはどうしてここが分かったの? わたし、場所とかなにも・・・」
憤然とした足取りでレストランを出て行った三崎さんを視界の端で見送って、彬良くんにささやく。
「そよかはそうやって、周りを見すぎるんだよな」
と彼は言う。
「周りを・・?」
「うん。だから断れなかったんだろ? 誰かに迷惑かけたくないとか、諍いを起こすとお店の雰囲気が悪くなっちゃうとか。そうやって自分より周りのことを考えちゃうからな。そこにつけ込んで、酒をがんがん飲ませて、そのままホテルの部屋に連れ込むつもりだったんだ」
えっ、と思わず声がもれる。
そういえば・・ここはホテルだった。まさか、と思うけど、あのまま酩酊するまでお酒を飲まされていたら、どうなっていたのか。想像すると、肝が冷える。
「で、でも、彬良くんはどうしてここが分かったの? わたし、場所とかなにも・・・」



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)