美心の悲しい顔は、苦手。


美心が苦しいと、俺も苦しくなる。


「なあ、美心。


なんかあるのか?


なんで、悲しい顔するんだよ」



雷くんが私を見つめる目が、私を急かす。


だけどーーーー


「ごめんなさい、言えないのーー」



私が軽々しく言える話じゃない。


誰でもない古都のことだから。


「ごめんなさい」


悲しい顔をさせてごめんなさい。


雷くん。