「ちょっと来て」

トイレのすぐ近くには軽く死角がある。

「どうしたの、廉くんーーーッ」



ーーードンッ



えっーーーー?



壁に押さえ付けられる手。


びくとも動かない。


「廉くん??


離してッ」



やだ、なんで??


「美心ちゃん連れ出したのは、美心ちゃんの見せたことのない表情が見たかったんだ。


なあ、青でも雷でもない。


本当の男を教えてやろうかーー?」


 迫る唇。



廉くんーーー



「やぁ!!!


離して廉くん!」



俺は暴れる美心ちゃんを見て、我慢できなくなってきた。