「お前、ずっと眼鏡外してれば」
「え?」
地味で冴えなくて、偉そうな前田は嫌いだ。
でも昨日みたいに俺の洋服を小さく掴んで付いてくる前田や、眼鏡を取られて泣きそうになってる前田は、嫌いじゃない。
「そのほうが可愛いよ」
すると、前田は熟した林檎のように顔が赤くなって「か、返して!」と、無理やり俺の手の中の眼鏡を奪う。
「からかうと怒るからね!」
眼鏡が戻った前田はまた赤さが消えて、青い林檎みたいに酸っぱくなる。
でも、それも悪くねえなと思ってる俺は一体どうしてしまったんだろうか。
まさか、昨日食べたのは毒林檎だったりして?
そんなバカなことを考えつつも、なんだか答えを出すのは面倒くさそうだから、俺は再び横になる。
「一緒にサボってくれたら、また世話しながら帰ってやってもいいよ」
最近運動不足だと思ってたし、遠回りするには丁度いい。
「は?なんで上から目線なわけ?」
「だって、お前、俺のこと好きだろ」
「なっ……」
ほら、次は赤。
なんだか、ころころと色を変える前田が面白すぎて、苛立っていた青すぎる思春期なんて、どこかへ飛んでいった。
【きみが青を手離すとき。 END】



