「おかえりなさい」


 関谷さんが扉を開けると自然とその場がお開きになって、みんなが席に戻って行く。


「ただいま。あれは酷いねぇ、暫く店やれないんじゃないかな」

「お店、ぶつかっちゃってたんですね」

「ありゃあ、あの兄ちゃんも助からねぇだろうなぁ、可哀そうに。親御さんも気の毒になぁ」



徳さんの言葉で、店内は苦く重たい空気に包まれた。

苦くてイイのはコーヒーだけだよ……


言い方からして、若い男の人が犠牲になってしまったみたい。


お店の人には悪いけど、物なら修理できるだろうけど、命はね……