オプトゥニールに無事力を吹き込む事ができた僕らは、また洞窟の外へ出てきた。そこにはレイとの約束の通り、あの男の子が僕たちが現れるのを待ち構えていた。

 もうお昼もとっくに過ぎた時刻。中へ入ったのは午前中だったから、すごく時間も掛かったのに。本当にこの子の根性には脱帽だ。

 男の子が、ちゃんと出来たのかオプトゥニールを見せろ、と言うので、鞘に入れたまま渡した。するとやはり重かったのか、カナリと同じように倒れ尻餅をついてしまった。男の子はカナリと同じ事を言いながら怒っていた。

 それで分かったけど……結局、男の子とカナリがすぐにぶつかり合うのは、性格が似ているからみたいだ。


 最初の儀式が無事に済んだから、僕はだいぶ気持ちが軽くなっていたのかもしれない。みんなと笑ったりしながら、しばらく男の子と話していた。カナリと男の子の言い合いも、何だか微笑ましく感じる程に。


 すると突然、クレールが僕たちの話を止めた。


「……何か、聞こえる」


 彼に言われて耳を澄ませてみるが、僕には特に変わった音は聞こえない。クレールの気のせいかと思ったが次の瞬間、彼が正しいことが分かった。

 足元の地面が、何か大きなものが動く振動でビリビリと痺れるように揺れ始めた。海の方から、地鳴りのような大きな重低音が聞こえてくる。

 それと一緒に、海の波の音が徐々に大きくなり、やがては津波が押し寄せるような音に変わった。


 ……一体、何が起こっているんだろう。


 心臓がドキドキと音を立てた。