みんな治安隊の隊服の上に鎧や武器を身に付けていた。その外にも、隊服を着ていない一般の人も大勢混ざっていた。

 治安隊の人も他の人も、ジャンさんの元気そうな顔を見ると、泣いて喜びお互いの無事を確認しあっていた。


 これなら出来るかもしれない……!


 大勢集まったといっても、ガーディ教団に比べたらたぶん全然足りないだろう。だけど、ジャンさんと治安隊の人たちの絆は、きっとそんなのには負けない。

 どうなる事かと思っていたけど、少しだけ希望が見えてきた気がした。


 その日の夜には、作戦前の宴会が開かれた。本当は作戦会議という名目だったけれど、いつの間にか大宴会になってしまっていた。

 火を囲んで持ち寄った食べ物をみんなで分け合い、ジャンさんや大人はお酒を飲んで騒いでいる。ガーディ教団本部には近いけれど、ここは完全に死角になっているみたいで、騒いでも見つかる心配は無かった。


 ひとしきり賑やかに騒ぐと、ジャンさんはみんなを静め、明日の作戦を告げた。


「いいか! お前ら! 明日はあの街で思う存分暴れてやれ! 責任は全部俺が持ってやらあ!」


 うおー! という猛々しい歓声が上がる。


「俺らの役目は敵を混乱させて、足止めさせる事だ! そうして、こいつらを必ず、グラファイトの野郎の場所まで辿り着かせる! 野郎ども! ぬかるんじゃねぇぞ!」


 また上がる歓声。

 作戦で僕たちの役目は、ジャンさんたちが起こす混乱に乗じて、グラファイトまで辿り着く事。